山行レポート 

ランク B健
参加者 19名(男6,女13)
CL/SL No.2853M.M/2250K.S,2843K.K
写真提供 No.2174Y.Y/2324M.M/2325K.N
2614T.I/2627H.K/2673R.S
編集 No.2330T.S

 地図はこちら→
   
12月4日(月) 雨
行 程 関空(10:55)  桃園飛行場(13:10)  東埔帝綸ホテル(19:00)
出発直前に関空の手荷物検査場の大混雑ぶりが伝わり、急遽集合時間を早めた結果、比較的スムーズに出国検査場を通過できた。桃園飛行場で哇哈山友屋の二人の女性ガイド、施梅齢さん(シ・メイリン 日本語可能)と田慧珊さん(ディェン・フイシャン)が出迎えてくれ、専用バスで宿へ向かった。

   
12月5日(火) 曇り
行 程 宿(7:00)  上東埔駐車場 (8:50)・・・・大鐵杉(10:00)・・・・鹿林山11:00・・・・麟趾山(13:00)・・・・塔塔加(タタカ)登山口(13:00)  上東埔駐車場(13:40)  宿 (17:00)
玉山の美しい姿が眺められるという鹿林山(ルーリンシャン 2,845m)と麟趾山(リンシーシャン 2,854m)を歩く周回コース。約6km(4.5時間)。歩き始めるとまもなく樹齢600年と言われる大鐵杉(和名:チュウゴクツガ)が現れる。さらにサルやキョン(小型のシカ)などにも遭遇、自然の豊かさを実感した。雨はほとんど降らなかったものの霧が出てせっかくの玉山は姿を見せてくれなかった。良く整備された尾根筋を歩く気持ちのよいコース、高度順応にちょうど良い山行になった。宿には温泉があり、日本と同じような大浴場つきの温泉でゆっくり疲れをとり明日からの玉山登頂に向け英気を養った。

登山開始前のアップ、いよいよスタート! 少し雨かな!? ガイドさんと皆んな元気、元気!
明日の本番前に玉山の説明を聞く 建物の中で事前勉強! 大鐵杉
鹿林山でハイポーズ! 台湾おにぎりのランチ、美味しかった! 麟趾山でハイポーズ
もう1人のガイドさんと ちょっとお勉強 少し晴れ間も
今日は明日からの高度順応練習兼ねて! 今日は終了!明日はここから本番開始! 左から玉山北峰、主峰、西峰、前峰!

   
12月6日(水) 曇り
行 程 宿(6:00)  上東埔駐車場 (7:50)  塔塔加登山口(8:50)・・・・孟禄亭(9:50)・・・・展望台(昼食)(11:55)・・・・大峭壁(13:30)・・・・排雲山荘(14:45)
この日のコースは排雲山荘まで8.5kmと、そこから玉山西峰往復、約5kmを歩く計画。
上東埔駐車場には車が多数停まっていた。近年台湾も登山ブームで玉山に登る人が増えているとのこと。まずは管理事務所でパスポートを提出し、入山許可者の名前と照合され、確認を受けた後、シャトルバスで登山口まで行く。平日にもかかわらず下山する人、我々を追い越していく若い人など多くの登山者がいた。我々が日本人とわかると“コンニチワ”と日本語で挨拶してくれる。
排雲山荘までは比較的なだらかな登り道。先頭を歩くガイドの施さんがかなり速いペースで歩くので、ついて行くのが大変。最初の休憩場所でもう少しゆっくり歩くようにお願いした。ゆっくり歩くは中国語で“漫漫走”(マンマンツォー)と施さんに教えてもらい、皆で” “漫漫走”と言いながら歩く。
施さんが速いペースで歩いたのは玉山西峰に行くためだったが、登るにつれ、皆の足取りがだんだん重くなる。やはり3000mを超える高度を普段のようなスピードで歩くことはできない。皆と相談し、西峰へは行かないことにし、“漫漫走”で山荘を目指した。
台湾の森林限界は日本よりずいぶん高く、3000mを超えても登山道から冷杉(和名:ニイタカトドマツ)の巨木が立ち並ぶ迫力のある姿を見ることができた。
当初の予定より1時間以上遅れて山荘に到着。皆かなり疲労しており西峰へ行くなどとんでもない話、ましてや当初の計画の三峰の登頂など我々の体力ではありえない無謀な計画だったことを実感させられた。一方疲れたとはいえ、高山病の症状を訴える方がいなかったのは幸いだった。事前に高山病の予防薬としてCLからダイアモックスや五苓散を紹介され準備できたこと、前日の高度順応ハイクなどが功を奏したもよう。
山荘は定員12名(2段ベッド)の部屋に分かれており、日本の山小屋より少しゆったりと過ごせる。ただ、玉山の山小屋は排雲山荘しかなく、その定員が250名程度。山の知名度、規模からすれば収容人数が少ないと思われる。人数が少ない分入山許可を取るのが難しいわけで、今回我々全員が登れたのはかなりラッキーだったといえる。


玉山を目指す朝のアップ いよいよ本番スタート! 展望台でランチ
神さん担いで登る人 雨予報はザックカバーのお守りでセーフ! 徐々に高度を上げる
排雲山荘に到着
クールダウンして、ここで本日終了 夕食で笑顔! 山荘の夕食
   
12月7日(木) 曇り
行 程 宿(3:00)・・・・玉山主峰(6:30)・・・・排雲山荘(8:25)・・・・展望台(11:10)・・・・塔塔加登山口(13:50)  上東埔駐車場(14:30)  台北のホテル(20:40)
AM2:00起床、食堂でおかゆが提供される。ガイドの施さんがお湯を沸かして皆に配ってくれた。
夜中降っていた雨は出発する頃には止んだ。ここから山頂までは道が狭くかつ険しくなる。山荘で借りたヘルメットを被り、ヘッドランプを頼りに粛々と登る。標高が高くなるにつれ、夜中に降った雨が凍りつき地面が滑りやすくなってきた。
いよいよ頂上まであと300mの地点まで到着、ガイドからここからは更に険しい登りが続くので、鎖をしっかり握って歩くよう指示があった。幸い風はあまり強くはない、しかしながら強烈な寒さが身にしみる。むろん気温は氷点下になっていると思われる。
少し休憩をとってから頂上に向けてアタックを開始。予想はしていたが、道は更に凍てつき、鎖にはエビのしっぽがついていて、とにかく冷たい。鎖をしっかり握りながら登る。さすがに鍛えられた明昭の面々、こんな悪条件にもかかわらずひるまずに登っていく。
20分ほどで頂上に到達、空はかなりしらみかけて来たが、霧が出ていて周囲の景色はほとんど見えない。当然ご来光も見られそうにない。寒さも半端なく玉山山頂と彫られた石碑の周囲で全員集合の写真を撮った後はすぐさま下山開始。登る時以上に慎重に下っていく。
アタック前に休憩した場所まで下って小休止、ガイドが配ってくれたホットコーヒーで一息つく。無事登頂を果たし、緊張がほぐれたのか皆の顔に笑顔が戻ってきた。排雲山荘に戻り、暖かい台湾式汁そばを食べ、一息ついたあと、下山開始。予定より少し遅れ気味の為か、施さんはかなり速いペースで下山していく。
塔塔加登山口に予定時間より少し遅れて到着、ここからはバスが待っている駐車場までシャトルバスで向かった。バスの前では、哇哈山友屋の陳社長が出迎えてくれ、それぞれに個人名と玉山頂上で撮った集合写真が入った“登頂記念証書”とお土産を用意し、我々の登頂成功を祝ってくれた。今回の山行では陳社長自ら連日朝食、昼食(台湾おにぎり)、ビール、バナナなど数々の差し入れをいただき、サービス満点だった。非常感謝!(中国語で大変ありがとうございます!)
この後、バスは一路台北のホテルへ。バスの中で、玉山は今シーズンの初冠雪だったこと、明日12月8日は太平洋戦争の開戦日、開戦指令“ニイタカヤマノボレ”が出された日であることを知った。台北までは遠く、ホテルについたのは午後9時近くになった。最後まで案内してくれたガイドの施さんにも“非常感謝!”。


朝3時にスタート 初冠雪の翌朝
皆んな凍っている 一歩づつ確実に! 風も冷たいぞ!
冷凍室の中だ! やったぞ!ピークだ! 寒い!
下山は慎重に! ここまで降りれば! やっぱり寒い!
もう大丈夫です ガイドさんからあったかいコーヒーを頂く 体に染みる、美味しかった!
   
12月8日(金) 晴
行 程 自由行動(15:00まで)・・・・九份と十分の観光・・・・宿帰着(21:00)
玉山登頂の疲れも見せず、台北市内を散策したり、有名な故宮博物館へ行ったりそれぞれ台北を楽しんだ後、全員オプショナルツァーに参加し、夜の九份(散策と打上げ会食)と十分(ランタン打上げ)を楽しんだ。

九份 交差点にて
九份 夕食後、外で! 十分 ランタン上げ
   
12月9日(土) 晴
行 程 ホテル(10:00)  桃園飛行場(13:00) 関空(16:25)
ホテルの向いにある公園で、五色の美しい鳥ゴシキドリ、ズグロミゾゴイ、クロヒヨドリ、カササギなど日本にいない鳥たちを見ることができたのはうれしいおまけだった。
寒さとスリルを味わった玉山、楽しく過ごした台北をあとに、帰国の途に。
“太辛苦了”(タイシンク―ラ 中国語で“大変お疲れ様でした”)。“再見、台湾”(ツァイチェン さようなら)


台湾で見かけた小鳥たち
カササギ タイワンキンバネガビチョウ ズグロミゾゴイ
インドハッカ ゴシキチョウ シロガシラ

リーダーコメント
コロナ禍がようやく一段落し、久しく行けなかった海外の例会を計画した。せっかく行くなら高い山がいいだろうと台湾最高峰の玉山(3,952m 日本統治時代はニイタカヤマと呼ばれていた)を目指すことにした。
ただ今回は海外例会の難しさを改めて実感させられた。最初のハプニングはルートの変更。参加者が確定し、説明会も終わった後に、現地でお世話になるガイド会社の哇哈山友屋(ワッハシャンヨウウー)から玉山の山小屋に連泊できないので(外国人優先枠を利用できるのは一泊のみ)、当初予定していた玉山の三峰、主峰、北峰(3,858m)、東峰(3,869m)に登頂する計画を断念し、主峰と西峰(3,518m)並びに玉山近くの山の登頂に変更するという連絡があったこと。但し、のちに当初の玉山三峰の登頂が如何に無謀な計画だったか思い知らされることになったが。
次は玉山の入山許可問題。ガイド会社から外国人向けの優先枠(最大24枠)を申込んだものの、半数の10名分しか当たらず、残る10名は登頂日の一ヶ月前に行われる一般抽選で当選するしかないとの連絡があった。対応策について数日間あれこれ考えていたところ、ラッキーにももう一方の外国人グループがキャンセルした為、我々10名が繰り上がり全員許可となったとの連絡を受けた。
中国語と英語を交えた現地とのメールのやりとり、思うように意思が伝えられないこともあり、ドタバタ、ヤキモキさせられたが最後には20名全員が登れることになり一安心。
出発前のドタバタはさておき、思った以上に過酷な山行にもかかわらず、全員トラブルなく登頂に成功し、無事下山できたこと参加者全員に拍手喝采!


明昭HPトップへ戻る 山行レポート目次へ戻る